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セックスの始まり

支配と服従。絶対的支配権を行使する主人と、服従するしか生きる術のない子飼いと。そういう立場があたりまえに存在する架空世界のお話です。飼われる人間と飼う人間との愛憎劇をお楽しみください。そして、時々は泣いてね。行き場を失った僕らの魂のために。

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トオルさんに飼われて数年。
これは僕が10代だった頃の話。

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僕は前戯が辛くてたまらなくて
それは前置きに過ぎないことも分かってて
本番はこれからでそれは射精してもらえないと終わらないことも分かってて
だから前戯の途中でペニスをねだるようになった。
「もうたまらない。僕に挿れてください。」
「欲しいのか」「欲しくてたまりません。」
「そんなに突っ込まれたいのか」「突っ込んでください」

僕は望まれてると思われる言葉を選んで復唱した。
自分からそれが欲しくてたまらないみたいにおねだりした。
そうすることの苦痛より、その前戯が続く苦痛の方が大きい気がしたからだ。

最初の頃それで興奮して喜んでくれてたトオルさんは
でも、ある日怒った。
「お前はその方が楽だから言っているんだろう」
「早く終わってもらいたくて言っているだけだろう」
「コレより俺のモノの方が楽だって言うんだな?失礼な奴だ」

怒ったトオルさんの責めはエスカレートした。
「二度とそんな生意気な口がきけないようにしてやる」

トオルさんは僕がぐったりして動けなくなるまで責め続けた。
それからやっと入ってくれて突き上げられて
遠くなりかけてた僕の意識は引き戻された。苦痛と快感の入り混じる中に。
気をそらすことは許されなかった。
トオルさんは果てるといつも僕の上にのしかかるようにしてつっぷしてくる。
僕はそれがあるとああ終わってもらえたんだな
これでやっと許してもらえると思うようになってた。
だけどその日
僕の中で果てて僕の上にのしかかってきたトオルさんは
僕の耳筋に口を寄せて言った。
「お前はまだだ。許してもらえたと思うな」

トオルさんは朝まで僕を休ませるつもりがなかった。
やっと終わってもらえたと思ってる僕からおりると
僕の中にバイブを入れてから自分だけシャワーに向かった。
僕を縛って、自然に抜けないようテープで固定してから。
戻ってくるとスイッチを入れられたままの僕の横に転がりながら
「朝までそうしてろ」 と自分だけ寝てしまった。

疲れきってた僕はそれでもウトウトと寝てしまうんだけど。
朝になってまた責められる。
「こんなものを入れたまま眠れるのか。よく平気だな?」
ニヤニヤと意地悪な笑いを浮かべながらトオルさんが言う。
それからまた責められて挿れられて突かれて
第三段が終わってからやっと許してもらえた。



僕は最初から、拒むことはもちろんできなかったけど
自分から求めることもできなくなった。
拒んでも求めても罰が待ってた。
言われた通り、望まれたようにしながら
気が済むまで体を差し出して許してもらえるのを待つ。
それが僕のセックスの始まりだった。

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